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SCPの世界で、想像力を羽ばたかせる

金子日葵さん 静岡県
Doronkoパラリンアートカップ2025どろんこ賞中・高校生部門

イラスト制作に集中する日葵さん

イラスト制作に集中する日葵さん

想像を形にする楽しみ

 頭が二つあり胴体に棘が生えた茶色い生物や、中央に棺が置かれたミステリアスな空間――。色鉛筆で描かれた不思議なイラストを見せてくれた金子日葵(ひなた)さん(14)は、静岡市内の特別支援学校の中学部に通う3年生。SCPをモチーフにした創作イラストの制作にはまっています。

 SCPは、海外の投稿サイトから生まれた創作プロジェクトです。自然の法則に反する不思議な生き物、現象、場所などを秘密裏に管理する「SCP財団」が存在するという設定のもと、世界中のクリエイターが報告書形式で投稿。ホラーやSF、ミステリーの要素が融合した独特の世界観で人気を集めています。日葵さんは2週間に1作品ほどのペースで、SCPの世界を楽しみながら、オリジナルのイラストを描いています。
「デザインを考える負担はあるけれど、自分の想像を映し出すのが好き」

実感を込めた跳躍シーン

 中学部2年生だった時、先生の勧めでパラリンアートカップに初めて応募。新設された「どろんこ賞【中・高校生部門】」の初代受賞者となりました。
「軽い気持ちだったし、受賞できるとは思っていなかったから、当たった時の衝撃はマジ、本当にすごかったです。どろんこ賞の受賞はめちゃめちゃ貴重な経験だった」

 学校以外での表彰は「人生初」という受賞作は、走幅跳をテーマにした作品です。義足の女性が大きな壁のように立ちはだかる黒雲へ向かって跳躍する姿を、力強く描いています。
「黒い雲を飛び越えた先に未来がある」

 体育の授業で自身が走幅跳を跳んだときの実感と、パラスポーツへの応援の気持ちを色鉛筆に込めました。

受賞作の「黒い雲に向う希望の女性」

受賞作の「黒い雲に向う希望の女性」

養生テープを生かした作品作り

 小学生の頃から絵を描くことが好きだったといいます。当時は、映画『ゴーストブック おばけずかん』に登場するゴーストを描くことに夢中でした。学校の机に白い養生テープを何枚も貼り、その上にマジックでゴーストたちの絵を描いていたそうです。描き終えたテープは剥がして輪郭に沿って切り抜き、「保管倉庫」と名付けた箱にしまっていました。その作品は今も大量に残っているといいます。
「そのせいで、学校の机をよごしてしまって……」

 これまでも、海から見る清水の街を描いた風景画が静岡新聞に掲載されたり、ティーカップを描いた絵が学校で育てたお茶のパッケージデザインに採用されたりと、作品がたびたび注目を集めてきました。父親の雅也さんは、「今回、思いがけず大きな賞をもらって、本人はびっくりしていましたが、東京での表彰式にも出席させてもらい、すごく良い経験になりました。これからも、いろいろなところで、こうした機会をいただけたらいいなと思っています」。

 どろんこ賞の副賞は、南魚沼産コシヒカリ1俵。「ありがたくもらいました」と喜ぶ日葵さんは、ごま塩をかけたりツナをのせたりして、主に朝食でおいしく味わっているそうです。

 書店で働きたいと思うほど大の本好き。今は恐竜や都市伝説、地獄などを題材にした図鑑シリーズを愛読しています。そこに描かれた迫力あるイラストや不思議な世界観が、豊かな想像力と創作意欲を育んでいるのかもしれません。

文/柾木風子(スタジオ・モンテレッジォ)

受賞作の「黒い雲に向う希望の女性」

1俵のどろんこ米は小分けして
定期的に食卓に届けられるそう

Doronkoパラリンアートカップ2026
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